50代起業のリアル。「過去の実績」だけでは飯は食えない?自己紹介の壁
CloudLab代表の岩森です。
先日、ある社長に提案へ伺った際、「簡単な自己紹介文を書いて送ってほしい」と依頼を受けました。起業して間もない私にとって、自分の経験をどう伝えるかは常に頭を悩ませるテーマです。今回は、その自己紹介文を作成する中で感じた、50代起業のリアルな葛藤についてお話ししたいと思います。
50代で起業、自己紹介で直面した「壁」
社長からの依頼を受け、私はこれまでの自分のキャリアを振り返り、文章にまとめ始めました。しかし、書き進めるうちに、ある違和感が拭えなくなりました。
スーパーの販売員からIT部門マネージャーへ
私のキャリアは、意外なことにスーパーの販売員からスタートしました。そこから本部のシステム企画部門へと転身し、社内のIT化を推進する立場になりました。
具体的には、社内の伝票ペーパーレス化の仕組みを導入したり、発注システムを刷新するプロジェクトのマネジメントを担当したりしました。社内の各部署との調整役を務め、企画書を書いて役員会に提出し、承認を得る。時にはシステム開発会社と連携し、プロジェクト全体を統括する。当時の私は、まさに社内の仕組みや人間関係を円滑にし、プロジェクトを推進する役割を担っていました。
しかし、この経験はあくまで「社内」での話でした。外部に通用するような、何か手応えのあるスキルが不足しているのではないかという漠然とした不安も感じていました。
独学と転職、そしてフリーランスエンジニアとしての独立
その不安を解消するため、私は独学で簿記1級の資格を取得し、プログラミングやITスキルを猛勉強しました。その後、会社を転職し、新たな職場でデータ基盤の内製化や再構築といった大きな仕事を経験しました。外部に委託していたシステムをほぼ自力で構築し直す中で、ITエンジニアとしてやっていける自信を深めました。
そして、フリーランスエンジニアとして独立。大手人材系の会社で、Treasure DataからSnowflakeとAWSへのデータ基盤再構築プロジェクトを任せていただき、設計から実装、運用まで一貫して担当しました。
これらの経験を通じて、私の強みは「業務理解からシステム開発、インフラ構築、プログラミング、そして会計知識まで、システム全体を一気通貫で対応できること」だと考えています。自己紹介文にも、その点を盛り込みました。
「すごいですね。でも、あともうちょっとですね」に隠された真意
自己紹介文を送った後、社長から顧問の士業の先生に相談があったようです。顧問の先生からは、「なかなか優秀な方ですね。業務からシステム、プログラム、会計まで一気通貫で分かる方は稀少な人材です」と、非常にありがたい評価をいただきました。
そして社長からも、「岩森さん、すごいですね」という言葉をいただきました。ここまでは素直に嬉しかったのですが、最後にこう付け加えられたのです。
「でも、あともうちょっとですね」
この「もうちょっと」という一言が、私の心に引っかかりました。褒め言葉なのか、励ましなのか、それとも何か足りないと言われているのか。社交辞令なのかもしれませんが、どうにも気になって仕方ありません。
「なんでも屋」に見えることの弊害
自己紹介文を作成する中で、私自身も感じていた違和感がありました。
「プログラミングも独学で学びました。簿記も取りました。クラウドもAWSもSnowflakeも触れます。AIも使えます。業務も会計も分かりますし、システムも作れます」
これらを全て並べると、まるで「なんでもできます芸人」のように聞こえてしまうのではないか。確かに一つ一つは私が経験し、身につけてきたことですが、全てを羅列した結果、「全部入りラーメン」のように、かえって何が専門なのかが分かりにくく、刺さるものがなくなってしまうのではないか、と。
会社の「看板」を失った独立の現実
会社員時代は、どれだけ大きな仕事をしていても、それは「会社の看板」があったからこそできた、という側面が大きくあります。大手企業の一員として、部署や上司の承認、そして取引先との関係性があって初めて、大規模なプロジェクトを動かすことができました。
しかし、独立した瞬間、その「看板」は全てなくなります。名刺に書けるのはCloudLabという、まだ設立間もない会社の名前と、私個人の名前だけです。相手から見れば、「あなたは一体何ができる人なんですか?」というところから、すべてが始まります。
CloudLabは今年4月に本格始動したばかり。私個人の実績は豊富にありますが、会社としての実績はまだこれから作っていくフェーズです。この「会社の看板」の有無が、会社員時代と独立後でこれほどまでに影響するのかと、改めて痛感しています。
起業初期の自己紹介、どう伝えるべきか?
社長からの「もうちょっと」という言葉は、売上につながらない原因がそこにあるのではないか、という示唆を与えてくれているように感じています。
過去の実績は私のバックボーンとして非常に重要です。しかし、それらをただ羅列するだけでは、相手に響きません。重要なのは、相手の課題に対して「私が、CloudLabが、何ができるのか」を明確に、そしてシンプルに伝えることだと改めて感じています。
「なんでもできます」ではなく、「この分野なら任せてください」という専門性を確立し、具体的な価値提供のイメージを持ってもらうこと。それが、起業初期の自己紹介における最大の課題であり、今後の私の事業戦略の要になると考えています。
50代起業のリアルと、CloudLabが目指すもの
50代で起業し、毎日が学びと試行錯誤の連続です。こうした正直な葛藤も、私の起業ログとして発信し続けることで、同じような悩みを抱える中小企業経営者の方々にとって、何かしらのヒントになれば幸いです。
「過去の実績」という土台の上に、CloudLabとして新たな「価値」をどう築き、どう伝えていくか。この「もうちょっと」を成長の糧とし、これからも挑戦を続けていきます。
CloudLabは京都・亀岡を拠点に、中小企業のIT活用・AI導入・ホームページ制作を支援しています。もしITやAIの導入、ウェブサイトでの集客にお悩みでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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