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営業・事業づくり

50代起業で「何屋さん?」問題に直面中。大手のAIセミナーで感じた、中小企業の勝ち筋と私の現在地

こんにちは、CloudLab代表の岩森です。

先日、亀岡の商工会議所で開かれた大手企業のAIセミナーに、いち参加者として足を運びました。登壇されたのはAI推進の責任者で、デジタル推進委員という公的な肩書きもお持ちの方。会社としても数多くの中小企業を支援されている、まさに業界のフロントランナーです。

一方、私CloudLabは社員ひとりの小さな会社。規模も信用も実績も、正面から比べたら勝てるはずがない、というのが正直なところです。しかし、セミナーを最後まで聴き、Q&Aで具体的なAIツールの使い分けについて質問してみたことで、私なりに「自分の勝ち筋」が見えてきた気がします。今回は、その気づきと、50代で起業した私が今直面している「事業の絞り込み」というリアルな課題についてお話ししたいと思います。

大手のAIセミナーで感じた、中小企業の勝ち筋

大手のセミナーは、本当に見事でした。中小企業の抱える不安を提示し、AI導入の必要性を伝え、行動へつなげる。その「型」は非常に勉強になりました。広く、分かりやすく、多くの人にAIの可能性を伝える。これは大手ならではの強みだと感じます。

しかし、社員ひとりの小さな会社がどこで戦うべきか。それは、概念や可能性を伝えることだけではない、と改めて確信しました。

「こういうことができます」という理想論ではなく、
「あなたの会社のこの作業を、実際にここまで減らしました」という「実物」を見せること。

建設現場の図面AI見積もり、士業事務所の書類自動仕分け、完全ローカルで動作する議事録AIなど、私が今取り組んでいるのは、まさにその「現場業務にAIを組み込んで動かす」という領域です。これは大手を批判する話ではなく、それぞれの役割と強みがある中で、規模で戦えない個人がどこで勝負するかを考えた結果です。

「何屋さんですか?」50代起業家が直面する問い

起業してから、名刺交換や交流会などで「何をされてるんですか?」「何屋さんですか?」と聞かれる機会が多くなりました。この問いに、スパッと一言で答えられる人は強い。例えば「ホームページ制作の人です」「補助金申請に詳しい人です」「塗装会社の図面見積もりをAIで楽にする人です」といった具合です。一言で言える方が、圧倒的に紹介されやすいと頭では理解しています。

しかし、正直なところ、今の私はまだそこまで完全に絞りきれていません。「私は〇〇屋です!」と自信満々に言い切れるところまでは、まだ到達していないのが現状です。これは、決して「絞れていないからダメ」という単純な話ではありません。かと言って「何でもできます」で良いかといえば、それも違います。今はまだ、絞るための「釣り場を探している段階」だと考えています。

経験豊富な人ほど陥る「看板が多すぎる罠」

なぜ、この「何屋さん?」問題が起きるのか。それは、経験豊富な人ほど陥りやすい「看板が多すぎる罠」があるからです。

例えば、大手メーカーで30年働いてきた方が独立したとしましょう。営業も商品開発も、展示会の調整も代理店との付き合いも、クレーム対応も若手の育成も経験してきた。本人からすれば、これら全てが「武器」です。営業も商品も展示会のノウハウも販路開拓も代理店戦略もマネジメントも、全て分かると。

だから独立すると、「中小メーカーの営業支援します」「展示会出展サポートします」「商品企画の壁打ちします」「代理店開拓支援します」「若手営業の育成もできます」といった具合に、たくさんのサービスを並べてしまいがちです。本人の中では「30年のメーカー経験」という一本の線で全て繋がっていると感じるでしょう。

しかし、お客さんから見ると「結局この人、何の人?」となりがちです。紹介する側も「あの人、営業に強い人やで」と言えばいいのか、「展示会に詳しい人やで」と言えばいいのか、迷ってしまいます。どれも間違いではないけれど、どれも少し弱い。なぜなら、本人の経験を全部並べているだけで、お客さんの「一番痛い悩み」に刺さっていないからです。

これは「サンクコストの罠」とも言えるかもしれません。長く働いてきた中で積み重ねた経験や苦労を、全て活かしたくなる気持ちは痛いほどよく分かります。ですが、商売では「自分が何を経験してきたか」よりも「相手が今何に困っていて、何だったらお金を払うのか」が先に来るべきだと私は考えています。

私自身の「看板多すぎ問題」

人のことなら冷静に「看板が多すぎますね」「ターゲットがバラバラですね」と言えるのですが、同じ問いを自分に向けてみると、私も同じことをやっていました。いや、むしろ私の方がひどかったかもしれません。

私はもともとデータ基盤という専門的な技術をメインに、会社員時代からデータ集計・分析の仕事をしてきました。フリーランスエンジニアとして独立した当初も、「このデータ基盤の技術は武器になるはずだ」と、大手企業に声をかけたりもしました。しかし結果は、見事に門前払い。「無名のひとり会社に、いきなり大手の基幹システムやデータ基盤の相談なんか来ない」のは当然ですよね。

「データ基盤を構築できます」と言われても、「分かりました、あなたに頼む理由は何ですか?」となってしまう。当時の私は、自分が「できること」を売ろうとする発想から抜け出せていなかったのかもしれません。

しかも、それだけではありません。売れてもいないのに、議事録AI、図面AI見積もりツール、士業向けの書類仕分けツールなどを作ってみたり、ホームページ制作や業務改善、AI活用支援にも手を出してみたりと、まさに「看板屋さんを開けるぐらいの看板」がある状態でした。人のことは言えませんが、やはり自分のことは見えにくいものだと痛感しています。

今すぐ絞りきれない現実と「釣り場探し」のフェーズ

では、今すぐ無理やり一つに絞ればいいのかというと、話はそう単純ではありません。これは、起業初期のリアルな課題だと感じています。

確かに「あれもできます、これもできます、何でも相談してください」では、ただの便利屋さんになってしまいます。それはさすがに危険です。しかし、今の段階でいきなり「私は塗装会社専門の図面AI見積もり屋です」とか「士業事務所専門のPDF自動整理ツール販売です」とか「地域中小企業専門のAI導入支援です」と言い切れるかというと、まだそこまでは至っていません。

なぜなら、誰をターゲットにするべきなのか、そのターゲットが本当に何に困っているのか、そして何にならお金を払ってくれるのか。ここがまだ完全には見えていないからです。絞りたいけれど、絞るための材料が足りていない。これが今の私の状態です。

だからこそ、私はあえて少し広めに「システム開発をやっています」という言い方をしています。ホームページ作成、AI導入、業務改善のためのITツール作成など、さまざまなことをやっています、と。これだけ聞くと、まだ広くて「結局何をしてくれるの?」と思われるかもしれません。しかし、今の段階では、それで良い部分もあると思っています。

私の考えは、最初から商品を売り込むのではなく、まず相手の話を聞くことから始めたいからです。「システム開発やAI、ホームページもやっています」と言うと、相手が自分の困り事を話してくれることがあります。「いつも見積もりに時間がかかっていて」「紙の書類整理が大変で」「社員がシステムを使ってくれなくて」といった具体的な話が出てくる。そこで初めて「それなら、こういう形で解決できますよ」という具体的な提案に入ることができるのです。

この順番が、今の私には大事だと感じています。最初から「この商品を買ってください」だと、「それは間に合っています」「それは要りません」となりがちです。相手の「痛み」がどこにあるのかを聞き、そこに合わせて私の技術やAI、システム開発を当てていく。そうやって出した提案は、相手の痛みにピンポイントで刺さりやすく、受注にも繋がりやすい。少なくとも今の私は、そう感じています。

これは「釣り」に近いかもしれません。いきなり「この魚だけ釣る」と決めるにはまだ早く、まずはいろんな釣り場に行ってみて、どんな魚がいるのか、どの時間帯に食いつくのか、どんな餌に反応するのかを見極める必要があります。部屋の中で作戦会議だけして「よし、この魚を釣ろう」と決めても、当然釣れません。やはりまず現場に行き、水の流れや魚影を見ろ、隣のおっちゃんが何を釣っているか見ろ、といったところです。

闇雲な探索ではなく、反応を見て絞り込む

私は今、まさにその「釣り場を探している」段階です。いろんな人に会って、いろんな現場の話を聞き、小さく提案してみたり、試しに作ってみたりする。その反応を見て、「お金を払ってくれるか」「継続して使ってくれるか」を見極める。そうやって実績を積み上げていけば、自ずと「ターゲット」や「自分が何になるべきか」が見えてくるはずだと考えています。

ただし、この探索を言い訳にして、いつまでも何でも屋を続けていてはいけません。それはずっと迷っているだけで、竿だけ持って釣り場をうろうろしている人になってしまいます。「早く釣れよ、一回垂らせよ」と自分に言い聞かせています。

探索するなら、ちゃんと記録することも重要です。どんな相談が多かったか、どの相談に相手の目が変わったか、どの提案にお金が動いたか、どういう仕事が紹介に繋がっているのか、どんな仕事は割に合わなかったのか、そしてどの仕事だったら自分が勝てそうなのか。ただ広げるだけでなく、広げながら反応を見て、反応があるところに少しずつ寄せていく。これが今の私に必要なことです。

サンクコストの罠の話に戻ると、これは単に「もったいないからやめられない」という話だけではないと思っています。もっと深いところに、「過去の自分を生かしたい」という気持ちが強すぎて、今のお客さんが見えなくなる、という側面があるのではないでしょうか。経験があるからこそ、作れるからこそ、頑張ってきたからこそ陥りやすい罠です。色々なことができるからこそ、看板が増えてしまう。しかし、色々なことができることと、売れることはやはり違います。最終的には絞らなければならない。早く「あの人は〇〇の人」と言われる状態を作りたいと強く思っています。

最終的に目指す場所

起業初期に「私は〇〇屋です」と言い切れる人は強い。紹介されやすいし、覚えてもらいやすいし、相手も頼みやすい。これは間違いありません。しかし、ターゲットの痛みがまだ見えていない段階で無理に絞り切るのもまた危険だと考えています。

だからこそ、今の私は少し広めに「開発をやっています」「ホームページもAIも業務改善もやっています」といった仮の看板を立てています。この探索を繰り返しながら、最終的には看板を絞り込んでいきたい。早く「〇〇のことならCloudLab」と言われる存在になりたい。これは、自分への今の使命だと感じています。

皆さんは、ご自身の仕事を一言で説明できていますか? それとも、まだ「釣り場を探している途中」でしょうか。もしよかったら、コメントで皆さんの状況を教えていただけますと幸いです。

CloudLabは京都・亀岡を拠点に、中小企業のIT活用・AI導入・ホームページ制作を支援しています。もし、あなたの会社がITやAIの導入でどんなことができるのか、あるいは業務改善で何から手をつければいいのかお悩みでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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