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営業・事業づくり

売り込まだずに継続契約を獲得した「営業の順番」|50代起業で学んだ無形サービスの提案術

こんにちは、CloudLab代表の岩森吏央(いわもり りおう)です。

先日のことですが、私のもとに嬉しいニュースが飛び込んできました。以前から交流のある知人の士業の先生(Aさん)から、ホームページ制作の正式な注文書をいただいたのですが、なんとその同じ日に、さらに驚くような受注報告を聞かせていただいたのです。

それは、地元の歴史ある製造業の社長さんから、「6ヶ月間の継続的な人事・組織づくりコンサルティング契約」を受注されたという話でした。

月額の顧問料形式で、総額としても大きな規模の継続契約です。起業して間もない段階で、このような手応えのある契約を結ばれたことに本当に感銘を受けました。

今回は、このAさんがどのようなステップを踏んで売り込まずに契約に至ったのか、そのプロセスから見えた「営業の本質と順番」について、私自身の気づきを交えてお伝えします。


なぜ「独占業務ではない仕事」で継続契約が取れたのか

士業の方といえば、許認可申請や書類作成といった法的な独占業務を想像されることが多いかもしれません。しかし、今回Aさんが受注されたのはそうした定型業務ではありませんでした。

Aさんがこれまでの会社員時代に培ってきた「人材育成」や「組織運営」の現場経験を商品にした、まさにコンサルティングの仕事です。

しかも、経営者と対談するだけでなく、幹部や一般社員の懐に入り込み、組織の内側に深く関わっていく内容です。経営者側から見れば、大切な社員や組織の未来を委ねることになるため、単に知識があるだけでは依頼できません。非常に強い信頼が必要とされる仕事です。

では、Aさんは最初から「人事コンサルをやっています、6ヶ月で〇〇万円です」と売り込んだのでしょうか。実は、全く逆のアプローチでした。

1. 相手の会社に強い興味を持つことから始めた

最初のきっかけは、地域の集まりなどで何度か顔を合わせ、雑談を交わす関係になったことでした。
あるとき、その製造業の会社を訪問した際、社員の方々が非常に気持ちの良い挨拶をしてくれたそうです。そこでAさんは自分の商品や実績を話すのではなく、素直にこう質問されました。

「社員のみなさんの挨拶が本当に素晴らしいですね。普段どのような人材育成をされているのですか?」

自分のアピールをする前に、まず相手の会社や取り組みに敬意を払い、興味を持つ。これが第一のステップでした。

2. 過去のコンサルタントに対する「不満」を聞き出す

会話を重ねる中で、その社長さんが人材育成や幹部教育に課題を感じていることが見えてきました。そこでAさんは、非常に重要な質問を投げかけます。

「過去に外部のコンサルタントや研修講師を頼まれたことはありますか? その際、何が良くなかったと感じられましたか?」

すると、社長さんから具体的な不満が溢れ出てきました。
- 「専門用語や理屈ばかりで、現場の苦労や社員の気持ちを分かってくれなかった」
- 「正論の上から目線で、社員だけでなく自分(経営者)にまで圧をかけてきた」

経営者が「何に困っているか」だけでなく、「過去に何に失敗し、何に嫌気がさしているのか」という深い体験談を引き出したのです。

3. 不満と自分の現場経験を掛け合わせ、専用の叩き台を作る

その話を聞いたAさんは、自分の歩んできたキャリアを思い返しました。
Aさんは単に理論を勉強したコンサルタントではなく、組織の中で部下として苦労した経験も、上司として人を育てチームをまとめた泥臭い現場経験もお持ちでした。現場の痛みがわかることこそが、過去のコンサルタントとの決定的な違いになると気づいたのです。

そこでAさんは、「貴社専用の人材育成プログラムの叩き台を作らせてください」と提案しました。
いきなり完成品や見積書を持っていくのではなく、経営者への丁寧なヒアリングを重ね、回答をもとにプログラムの骨組みを作成。それを社長に見せて「現場の感覚とズレている部分」を修正し、意見を取り入れながらブラッシュアップしていきました。

「世の中にある既成の研修パッケージ」ではなく、「自社のためだけに作られたプログラム」だからこそ、社長にとって他と比較できない価値を持ったのです。

4. 無料の「相談・叩き台」から「ビジネスの提案」へ明確に切り替える

そして、最も重要なのが最後のステップです。
何度もヒアリングを行い、叩き台を磨き上げた段階で、Aさんは次のように切り出しました。

「ここまでは、お話を聞いて叩き台を作る段階でした。ここからはビジネスとして正式に提案させていただきます。この内容に本当に価値があるかどうか、ご判断ください」

そう伝えた上で、6ヶ月間の具体的な契約金額と条件を提示されました。経営者からは「これまで何度も話をして、あなたの姿勢や考え方はよく分かっている。あなたになら任せられる」と、即答で快諾をいただいたそうです。


今回の事例から学んだ「営業の4つの順番」

今回のAさんの受注プロセスを振り返ると、無形サービス(コンサルティング、システム開発、デザイン、各種士業業務など)を販売する上で、極めて重要な「4つの順番」が見えてきます。

  1. 最初から売り込まず、相手と「過去の失敗」に興味を持つ
    単に「何に困っていますか?」と聞くだけでは浅い答えしか出ません。「過去に試してうまくいかなかった原因は何か」「外部に頼んで嫌だったことは何か」を聞くことで、相手が本当に避けたい失敗が見えてきます。

  2. 一般論ではなく「その会社専用」の提案にする
    「ホームページが作れます」「AI導入ができます」といった抽象的なサービス名では届きません。「貴社のこういう課題に対して、過去の失敗を避ける形でこうアプローチします」という具体的な提案になって初めて、相手は自社で導入するイメージを持てます。

  3. 専門知識だけでなく「自分の実体験・苦労」を強みにする
    教科書的な正論を話す人は世の中にたくさんいます。しかし、現場で葛藤した経験や泥臭い苦労話こそが、他者との差別化になり、相手への共感と安心感を生み出します。

  4. 途中で逃げず、ビジネスとして正式な価格を提示する
    親身に相談に乗り、無料でアイデアやサンプルを提示するところまではできても、最後に「ここからは有料です」と伝えるのを躊躇してしまう人は少なくありません。しかし、信頼関係を築いた上で明確な境界線を引き、自信を持って価格を提示しなければ、事業として成立しません。


自分自身の営業を振り返って感じたこと

この話を聞いて、私自身も自分の営業スタイルを深く反省しました。

私はITやシステムの人間ですので、お客様の課題を聞くと、つい「技術的にどう解決するか」を真っ先に考えてしまいがちです。「こんなシステムが作れます」「このツールを使えば効率化できます」と、すぐに解決策や仕組みの提案へ飛んでしまっていました。

しかし、本当に聞くべきだったのは、その手前にある感情や経緯だったのです。
- なぜ今までその課題が解決できなかったのか?
- 過去に使っていた仕組みや業者のどこに不満があったのか?
- 現場の誰が、どんな気持ちで困っているのか?

そこまで深く理解した上でなければ、どれほど優れた技術を使っても、本当の意味で相手に寄り添った提案にはなりません。

売り込まずに信頼を積み重ね、相手専用の形を作り、最後に逃げずにビジネスへ切り替える。この一連のステップは、地域でビジネスを行う私たち中小企業経営者やフリーランスにとって、普遍的で極めて大切な指針だと感じています。


CloudLabは京都・亀岡を拠点に、中小企業のIT活用・AI導入・ホームページ制作を支援しています。現場の業務や現在お持ちのお悩みを丁寧に伺った上で、貴社に合わせた適切な活用方法をご提案いたします。お気軽にご相談ください。

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