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営業・事業づくり

50代で起業して痛感した「AIだけでは売れない」壁。中小企業向け商品開発のリアル

こんにちは、CloudLab代表の岩森です。

先日、地元の先輩経営者の方と、あるシステムの打ち合わせをする機会がありました。それは、AIを活用して会議の音声を文字起こしし、自動で議事録を作成するシステムについてです。

当初は、「AIで文字起こしして、議事録を作れるシステムがあれば便利ではないか」というシンプルな発想からスタートしました。私自身、日頃からAIをシステム開発や情報収集に活用しているエンジニアなので、技術的な可能性についてはある程度の確信がありました。しかし、その打ち合わせの中で、50代で起業したばかりの私にとって、非常に重要な「商品開発と営業の基本」を叩き込まれたのです。

「AIで議事録」だけでは足りない中小企業の現実

AIによる音声文字起こしや議事録作成は、技術的には決して難しいことではありません。実際、大手企業であれば、Google MeetやMicrosoft Teams、Copilotといった既存のクラウドサービスを使えば、オンライン会議の文字起こしや要約、議事録作成までが当たり前のようにできてしまいます。

しかし、先輩経営者から指摘されたのは、中小企業や地方の事業所の実情との大きなギャップでした。

  • 毎月のサブスク費用が重荷になる:大手企業のような潤沢な予算がないため、従業員数分の月額課金は大きな負担になります。
  • パソコンに詳しい人がいない:ITに慣れていない社員が多い場合、高機能なシステムは使いこなせません。
  • 導入後のサポート不安:大手ベンダーではすぐに返事が来ないことも多く、困った時にすぐ聞ける相手が欲しいという声。
  • クラウドにデータを置きたくない:セキュリティや情報管理の観点から、社内データを外部クラウドに預けることに抵抗がある企業も少なくありません。

「AIツールは便利ですよ」と伝えるだけでは、これらの現実的な課題を抱える中小企業には響かない。現場の運用に合わせた、もっと具体的な解決策が必要なのだと痛感しました。

例えば、市販のスピーカーフォンで会議の音声を録音し、そのファイルが特定のフォルダに入ったら、私が作ったツールが自動で文字起こしと議事録作成までを行う、といった運用です。さらに、高額なサブスクではなく、買い切りに近い料金体系で、困った時には地元の会社としてすぐに相談に乗れる体制。これらが揃って初めて、大手とは異なる活路が見出せるかもしれない、と具体的なヒントをもらいました。

社長が欲しいものではなく「従業員が楽になるもの」を作れ

この打ち合わせで、最も心に響いたのは、先輩経営者のこんな金言でした。

「岩森さん、社長に喜ばれるものを作るんじゃないよ。その下で働いている従業員さんが、ちゃんと働きやすくなるものを作らないとダメだ」

50代で起業し、とにかく仕事が欲しい私には、どうしても決済権を持つ社長の顔色を伺ってしまうところがありました。「社長が喜ぶものを作らなければ」と、無意識のうちに社長目線でばかり考えていたのです。

もちろん、最終的に投資を決めるのは社長です。それは非常に重要な視点ですが、それだけでは不十分だと指摘されました。実際に毎日そのシステムを使うのは、議事録を作成する人、会議後に内容を整理する人、報告書を書く人、そして報告書を受け取る人といった現場の従業員さんたちです。

彼らの日々の作業が、少しでも楽になる。効率が上がる。ストレスが減る。そういった「現場の課題解決」に繋がるならば、社長は喜んでお金を出すのだと。売る相手は社長でも、その商品の真の価値を感じ、恩恵を受けるのは現場の従業員さんたちにある。ここを間違えると、ただの自己満足で終わってしまう。これは私にとって、非常に大きな学びとなりました。

AI万能ではない。現場の「微妙な温度感」は人にしか分からない

先輩経営者からは、常々「AIに頼るな、自分で考えろ」とも言われます。確かに私はエンジニアとして、AIを頻繁に活用しています。YouTube動画のネタ出しから、日々のシステム開発まで、AIは強力なパートナーです。

しかし、AIに尋ねるだけでは決して見えてこないものがあります。それは、現場の「微妙な温度感」です。AIは膨大なデータから最適解を導き出せますが、「何を作るべきか」「どう売るべきか」「誰のどんな痛みを解決すべきか」といった本質的な問いの答えは、AIの解析からは出てきません。

それは、現場で人と直接話し、彼らの声に耳を傾け、その場の空気感を肌で感じ取って初めて見えてくるものです。いわゆる「現場感覚」というやつでしょう。

正直なところ、営業は得意ではありません。人と会うのは緊張しますし、電話をかけるのも怖い。提案して断られるのは、もっと怖いし、傷つくこともあります。だから、「私は内向的だから」「エンジニアだから」と、パソコンの画面を見ながら一日中部屋に閉じこもり、AIと壁打ちしている方が楽だと自分に言い訳をしていました。

しかし、今回の打ち合わせで痛感したのは、やはり外に出ないと、人と会って話さないと、何も始まらないということです。それだけでは、商品やサービスは決して磨かれません。現場の人に見せて、率直な意見をもらい、突っ込まれて、直して、また考える。この繰り返しの中でしか、本当に売れる商品やサービスは生まれてこないのだと、改めて肝に銘じました。

50代起業のリアルと、アナログなスキルの再認識

今回の会議文字起こしシステムは、まだ完成品ではありませんし、そもそも売れるかどうかもまだ分かりません。しかし、この経験で得られた「現場感覚」や「商品開発の考え方」というノウハウは、仮にこの商品が市場に出なくても、必ず次に活かせる財産になると確信しています。

AIが全盛の時代だからこそ、逆にその価値が高まっていると感じるのが、

  • 現場を自分の目で見て、肌で感じること
  • 人と直接会って話し、本音を聞き出すこと
  • 相手の立場に立って、深く考えること

といった、ごく当たり前のアナログなスキルです。これらの人間的なスキルが、AIを効果的に活用するための土台になると日々感じています。

まだまだ未熟な50代起業家ですが、このような現場での学びも含めて、CloudLabとして本当に中小企業の皆様の役に立つサービスを作っていきたいと思います。これからも、飾らない言葉で、起業のリアルな道のりをお伝えしていきます。

CloudLabは京都・亀岡を拠点に、中小企業のIT活用・AI導入・ホームページ制作を支援しています。現場の課題に寄り添い、本当に役立つソリューションを共に考えます。お気軽にご相談ください。

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