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営業・事業づくり

50代起業のリアル。「これ売れますよ」とお客さんに言われた日

50代起業のリアル。「これ売れますよ」とお客さんに言われた日

CloudLab代表の岩森です。私は50代で起業し、京都・亀岡を拠点に中小企業や士業事務所のIT活用を支援しています。今回は、先日ある士業の先生の事務所で経験した出来事についてお話ししたいと思います。この日は、起業家としての大きな手応えと、同時に起業初期ならではの葛藤を強く感じた一日でした。

士業事務所の「地味に大変」を解決するアプリ

お伺いしたのは、日頃から多くの書類を扱う司法書士事務所さんです。先生のお話を聞くと、クライアントから預かる大量のPDF書類を案件ごとに分類し、整理する作業が、想像以上に大きな負担になっているとのことでした。

特に、機密情報や個人情報を多く扱うため、オンラインのクラウドサービスやAIツールを使うのは難しいという事情がありました。インターネットに接続せず、事務所内のパソコンだけで完結するオフラインでの処理が必須だったのです。また、書類の中には手書きの管理番号が含まれるものもあり、これらを正確に読み取って分類するのは、まさに「地味に大変」な作業の連続でした。

そこで私が開発したのが、スキャンされたPDFを自動で案件別フォルダに仕分ける試作アプリです。

このアプリには、以下のような工夫を凝らしました。

  • オフライン動作の徹底: 機密情報の漏洩リスクをなくすため、インターネット接続なしで動作するように設計しました。
  • OCRによる管理番号読み取り: 画像データとして取り込まれたPDFから、手書きを含む管理番号をOCR(光学文字認識)技術で読み取ります。
  • 誤判定時の確認・修正フロー: OCRには誤認識がつきものです。そのため、怪しいと判断された場合は、スクリーンショットで読み取り結果と原文を比較し、手動で修正できる仕組みを取り入れました。これにより、正確性を担保しつつ、作業の手間を大幅に削減できます。
  • 柔軟な案件マスター設定: 案件番号と案件名のリストを先生ご自身で簡単に変更・追加できるようにしました。これにより、事務所の運用が変わっても、アプリ側で柔軟に対応できるようになっています。

一つ一つの作業は単純に見えても、それが毎日、何百枚、何千枚と積み重なると、担当者の時間と労力は膨大なものになります。このアプリが、その負担を少しでも軽減できれば、という思いで作り上げました。

目の前で「これは売れる」と言われた喜び

試作アプリが完成し、先生の事務所へデモに伺いました。USBメモリにソフトを入れ、当日インストール作業を行い、テスト用のPDFを使って実際に仕分け作業をお見せしました。先生にも、個人情報に配慮したサンプル書類をいくつかご用意いただき、約15枚のPDFが瞬時に、そして正確に案件別フォルダに分類されていく様子を見ていただきました。

その時の先生の反応は、私の想像以上でした。「これはすごいですね!」「これは便利だ」「他の司法書士事務所でも絶対に売れますよ!」「私の後輩の事務所にもすぐに紹介しますよ」と、興奮気味に話してくださったのです。

「営業の代わりをしてあげますよ」とまで言っていただき、目の前で自分の作ったものがこんなにも喜ばれる。50代で起業し、手探りで事業を進める中で、これほど嬉しい言葉はありませんでした。自分の技術やアイデアが、本当に誰かの役に立つと実感できた瞬間でした。

価格を言えない起業初期の葛藤

デモは大成功に終わり、先生も非常に満足してくださいました。しかし、ここで私には一つ、大きな課題が残りました。それは、サービスの価格を提示できなかったことです。

「このアプリは〇〇円で、保守費用は年間〇〇円です」と、その場で伝えることができなかったのです。次回、お試し期間の後に改めて伺うので、その時にご相談させてください、と話すのが精一杯でした。

起業初期によくある「値段を言うのが怖い」「自信がない」という先延ばし癖。私もこれにすっかりはまってしまいました。もちろん、事前に先生の時給換算や、アプリ導入による業務効率化で1年以内に元が取れるような費用対効果は試算しています。だから、堂々と価格を提示すれば良いはずなのですが、いざとなると躊躇してしまう。これは、私自身の大きな課題だと痛感しています。

「受注前に作る」営業スタイルの可能性と課題

今回の経験を通して、私なりの営業スタイル、特に起業初期の戦い方が見えてきました。それは、「受注前に小さく作って、現場で見てもらう」というやり方です。

このスタイルのメリットは明確です。

  • 顧客満足度の高さ: 実際に動くものを見てもらうことで、お客様は具体的なイメージを持ちやすくなります。期待と現実のギャップが少なく、高い満足度につながります。
  • 高い受注率: 目の前で課題が解決される様子を見れば、「これなら導入したい」という気持ちが強くなります。営業資料だけで説明するよりも、受注につながる確率は格段に上がると感じています。

一方で、デメリットもあります。

  • 高い工数: 受注前に試作を作るため、時間と労力がかかります。効率が良いとは言えません。
  • 企業初期限定の可能性: お客様が増えれば、一つ一つ試作を作るのは現実的ではなくなるでしょう。あくまで、事業の軌道に乗せるまでの期間限定の戦い方かもしれません。

しかし、特に私のようなエンジニア気質で、営業に苦手意識がある人間にとっては、自分の技術やスキルを「武器」にできる有効な方法だと考えています。お客様の課題に寄り添い、具体的な解決策を形にして見せる。このプロセスこそが、信頼を築き、ビジネスを前に進める原動力になるのだと信じています。

もちろん、この「逃げの営業」だけでなく、将来的にはもっとオーソドックスな営業手法も学び、事業を加速させていきたいという思いも強く持っています。

確かな手応え、そして次の一歩

今回の経験で、私のサービスやスキルには確かな需要があるという手応えを掴むことができました。試作さえ見てもらえれば、きっと受注につながるはず。そんな感覚が徐々に芽生えてきています。

これからは、この手応えを信じて「アクセルを踏む」フェーズです。もっと多くのお客様に声をかけ、積極的に接触を増やしていく。50代からの起業は、毎日が学びと発見の連続ですが、この確信を胸に、一歩一歩着実に進んでいきたいと思います。


CloudLabは京都・亀岡を拠点に、中小企業のIT活用・AI導入・ホームページ制作を支援しています。今回のような業務効率化アプリの開発はもちろん、ウェブサイトの改善やデジタルツールの導入など、ITに関するお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

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