こんにちは、CloudLab代表の岩森です。
今回は、ある社長のマーケティング戦略を聞いて、私が感じたこと、そしてCloudLabの事業にも通じる学びについてお話したいと思います。50代で起業し、日々中小企業の皆さんと向き合う中で、この社長の視点は私にとって非常に大きな気づきとなりました。
「商品を売る」から「市場を作る」への転換
先日、ある新しい事業の構想について話を聞く機会がありました。それは特殊な施工商材を使い、全国の施工会社や営業ネットワークに広げていくというもの。普通に考えれば、「どうすればこの商品を売れるか?」という話になりますよね。
商品の良さを伝え、価格を設定し、研修を開いて加盟店を集め、広告を出す。もちろん、これらも大切な戦略です。しかし、その社長の話を聞いて、私はすぐに「この人は、ただ商品を売ろうとしているだけではない」と感じました。
その社長が目指していたのは、市場の「空気」を変えることでした。
具体的には、今まであまり一般的でなかったその施工メニューが、「できるのが当たり前」という世間の空気を作り出したい、というのです。これまでは「特殊な技術だから、やらなくてもいい」「できなくて当然」と思われていたものを、SNSや加盟店の発信を通じて「それもできるんですよね」「できて当たり前ですよね」という業界の常識に変えていく。つまり、商品を売る前に、お客さんの頭の中にある「基準」そのものを変えようとしているわけです。
これは正直、すごい発想だと感銘を受けました。そういった「市場の常識を変える」ような取り組みは、大企業が莫大な広告費を投じてテレビCMを打つようなものだと思い込んでいたからです。それが、地方の中小企業が、同じようなことをやろうとしている。需要があるところに商品を売りに行くのではなく、需要そのものをゼロから作り出そうとしている。この違いは、まさに「売れる社長」と「市場を作る社長」を分けるものだと感じました。
SNSが拓く「当たり前」の書き換え
では、その社長はどのようにして市場の空気を作ろうとしているのか。その鍵は、やはりSNSの活用にありました。
SNSは単なる集客ツールではありません。もちろん、「今日こんな工事をしました」「こんな施工事例です」「お問い合わせください」といった使い方も重要です。しかし、その社長はそれだけに留まらず、加盟店全体がSNSで積極的に発信することによって、市場全体に「この施工ができるのが普通なんだ」という空気を生み出そうとしていました。
一社だけが発信していても、「あの会社は特殊なことをやっているな」で終わってしまうかもしれません。しかし、全国の加盟店が同じような発信をし始めたらどうでしょうか? 見る人の印象は大きく変わります。「あれ、この施工、最近よく見るな」「他の会社もやっているな」「もしかして、これからこれが普通になるのかな」と感じるようになるはずです。これこそが、まさに「市場作り」です。
私自身もYouTubeやSNSをやっていますが、どうしても「今日何を投稿するか」「再生回数や問い合わせにつながるか」といった短期的な視点に囚われがちでした。しかし、今回の話を聞いて、SNSにはもう一つの重要な役割があることを再認識しました。それは、世の中の「当たり前」を書き換える力です。
過去から学ぶ「空気」の変化
考えてみれば、これまでにも同じような変化はありました。
- ホームページ:昔は大企業だけが持つものという時代がありましたが、今では小さな会社でもホームページがあるのが当たり前です。
- 社長の発信:かつては珍しかった社長の顔出し発信も、今では珍しくありません。
- AI活用:つい4、5年前までは、AIを使うのは一部の専門家だけでした。しかし今や、中小企業だけでなく、学生や子供たちでさえChatGPTを使っているという話を聞きます。これは、AIそのものが突然劇的に変わったというよりも、「AIを使うのが普通」という空気ができたからではないでしょうか。
今回の社長は、この「空気作り」を意図的に、戦略的に行おうとしているのです。
加盟店も潤う「win-win」の仕組み
この戦略の面白い点は、本部だけが特をするわけではないということです。加盟店にとっても大きなメリットがあるように設計されていました。
自社の商材を発信することで、加盟店自身のPRになりますし、「新しいことに挑戦している会社」というイメージも作れます。結果として、施工事例や問い合わせが増え、さらに自社の他の商品やサービスにも目を向けてもらえる可能性が高まるのです。
「SNSをやってください」と一方的に指示するだけでは、人はなかなか動きません。しかし、「発信すれば自社のPRになる」「問い合わせが増える可能性がある」「新しい施工会社として見られる」となれば、加盟店も動く理由が生まれます。発信が増えれば増えるほど、本部側は市場全体の認知度が上がり、市場の空気が変わっていく。そして、問い合わせが増えれば、さらに加盟店が増えるという好循環が生まれるわけです。
この循環を意図的に作り出そうとしていることに、私は非常に強い戦略を感じました。やはり「売れる社長」は、商品単体だけを見ているのではなく、全体を見渡し、すべてをつなぎ合わせ、「どうすればこれが当たり前になるか」を常に考えているのだと改めて気づかされます。これは、ただ商品を売る人と、市場をゼロから作る人の決定的な違いだと感じました。
私自身の挑戦:地域の中小企業の「当たり前」を変える
この話を聞いて、私自身も深く反省し、今後のCloudLabの活動について改めて考えさせられました。
私は今、地域の中小企業の皆さんに対してAIやDXの支援をしていますが、「AIを使えません」「業務改善しませんか」といった初歩的な段階で止まっているだけでは弱いと感じています。私もあの社長を見習って、地域の中小企業で「AIやITを使って業務を楽にするのが当たり前」という空気を作っていかなければならない、と強く思った次第です。
私のYouTubeやSNSでの発信も、単にCloudLabの商品やサービスを売るためだけではありません。「こんな働き方もあるんだ」「こんなIT活用法があるんだ」「地元にこんなIT企業があるんだ」といった、新しい空気を作り出す一助になればと願っています。
商品販売の枠を超え、市場全体の「当たり前」を書き換える。これは、50代で起業した私にとって、非常に挑戦しがいのあるテーマです。これからも、地域の中小企業の皆さんと共に、新しい「当たり前」を創造していきたいと考えています。
CloudLabは京都・亀岡を拠点に、中小企業のIT活用・AI導入・ホームページ制作を支援しています。業務の効率化や新しいビジネス展開にご興味がありましたら、お気軽にご相談ください。
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