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50代起業

人を雇うのが怖い理由|「自分と同じ人間」を探していた一人会社の気づき

50代で独立し、京都・亀岡でCloudLabという会社を立ち上げてIT支援やAI活用のお手伝いをしています。岩森です。

現在は基本的に一人で事業を運営しています。システム開発から営業、提案書の作成、経理、そして情報発信まで、ほぼすべての業務を自分自身でこなしている状態です。

一人会社には良い面もたくさんあります。自分で意思決定をして素早く動けますし、無駄な会議もありません。人間関係のストレスもなく、売上が厳しい月に「社員の給料をどう払うか」と頭を抱える必要もありません。

しかし、一人でやっている限り「自分の持っている時間」がそのまま会社の成長の上限になってしまいます。仕事のご相談が増え、打ち合わせや試作品の制作、提案書づくりに追われるようになると、物理的に手が回らなくなる限界が必ず見えてきます。

頭では「いずれは人に任せないといけない」と分かっているのですが、正直なところ、人を雇うことに対する恐怖心がずっとありました。

「最初は仕事の3分の1をやってくれたらいい」

そんな不安を抱えていたとき、経営者の交流会でたまたま隣の席になった製造業の社長さんとお話しする機会がありました。

私が「今は一人で全部やっていて、そろそろ人に任せたい気持ちもあるのですが、なかなか踏み切れなくて……」と愚痴混じりに相談したところ、その社長がこうおっしゃったのです。

「最初はね、自分の仕事の3分の1をやってくれたらそれでいいんですよ」

最初聞いたときは「えっ、3分の1でいいんですか?」と驚きました。しかし、その意味を聞いていくうちに、自分の採用に対する考え方が根本からずれていたことに気づかされました。

無意識に「自分と同じ人間」を探していた

その製造業の社長が教えてくれたのは、次のようなロジックでした。

一人で仕事をしているときは1馬力です。そこに新しい人が入ってきて、自分の仕事の3分の1をこなしてくれたとします。いきなり2馬力にはならなくても、会社全体としては1.3馬力になります。

そして何より重要なのは、社長自身の時間が3分の1空くということです。

空いた3分の1の時間を使って、社長は営業に行ったり、新しい取引先と話したり、会社の将来に向けた投資や準備に時間を使えるようになります。

つまり、人を雇う本来の目的は「自分と同じレベルの100点の仕事を最初からしてもらうこと」ではなく、「経営者が自分にしかできない仕事に戻るための時間を作ること」だったのです。

この話を聞いて、自分がなぜ人を雇うのを怖がっていたのかがよく分かりました。私は無意識のうちに、自分と同じことができる人を探していたのです。

顧客の課題を感じ取り、システム構成を考え、見積もりを作り、試作をして説明まで完結できる——そんな人を最初の1人として求めていました。

ですが、冷静に考えればそんな人が都合よく来てくれるはずがありません。私自身、20年以上企業の中でITや業務改善の現場を踏んできて今があります。それを入社して数ヶ月の人に丸ごと再現してもらうのは不可能ですし、もしそんなことができる人がいたら、その人は自分で会社を作っているはずです。

存在しない「自分と同じ人」を求め続けていたからこそ、採用に踏み出せず、恐怖ばかりが膨らんでいたのだと痛感しました。

「能力」ではなく「任せる範囲」の話

ここで誤解してはいけないのは、「社員の能力が社長の3分の1でいい」という意味ではないということです。そうではなく、「最初に任せる仕事の範囲が3分の1でいい」という話です。

例えば、今の自分の仕事を分解してみます。

  • お客さまとの初回相談や全体設計(自分にしかできない仕事)
  • テストの実施やデータの整理、資料の体裁整え(手順を決めれば任せられる仕事)
  • 定型的なWebサイトの更新作業や標準的な設定作業(教えれば任せられる仕事)

最初から1人分の仕事丸ごとを渡そうとするから難しくなります。自分の業務の一部を切り出して分担していく形であれば、段階的に任せていくことができます。

ただし現実的な問題として、任せる仕事が3分の1だとしても、給料を3分の1にするわけにはいきません。固定費が増えるリスクはあるため、「何も準備せずに誰でも雇えばいい」という乱暴な話ではありません。

「雇えるだけの仕事や利益のベースがあるのに、自分と同じ100点満点の人材が見つからないという理由で採用を止めてしまっている経営者」に向けた、視点を変えるためのアドバイスなのだと理解しました。

雇う前にできる準備|業務の分解と標準化

私自身、今すぐ誰かを正社員として雇う段階にいるわけではありません。ですが、今のうちからできる準備はたくさんあります。

一人会社経営者が落ち入りやすいのが「自分でやった方が早い」という状態です。確かに、最初は自分でやった方が圧倒的に早いですし、品質も担保できます。しかし、それを続けている限り、半年後も1年後もすべてを自分で抱え続けることになります。

今取り組むべきなのは、まず自分の仕事の手順を整理し、可視化することです。

  • 自分のやっている仕事にはどんな工程があるか
  • どこが自分にしかできない部分で、どこが手順化できる部分か
  • 完成の基準を言葉やマニュアルで説明できるか

これらを整えておくことで、いざ人を雇うとなったときや、まずはパートさんや外部パートナー(業務委託)に一部の作業をお願いする際にも、スムーズに仕事を渡すことができます。まずは小さな業務委託などで「人に仕事を任せる練習」から始めてみるのが現実的だと考えています。

人を雇うとは、自分と同じ人を探すことではなく、自分の時間を空けて次の事業を作るための仕組みづくりです。自分自身の業務をしっかり分解し、任せられる土台を少しずつ整えていきたいと思います。

CloudLabは京都・亀岡を拠点に、中小企業のIT活用・AI導入・ホームページ制作を支援しています。業務の効率化やシステムの整理でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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