先日、AI業界に衝撃が走る出来事がありました。Anthropic社の最新AIモデル、Claude Fable 5とMythos 5が、公開からわずか数日でアクセス停止になったのです。私自身も、新しいAIモデルが出ると「これでまた仕事が効率化できる」と期待し、すぐに検証を始めるのですが、今回は文字通り「期待した途端に止まった」という状況で、少なからず戸惑いを覚えました。
何が起きたのか? 最新AIが突然停止した背景
事の発端は、アメリカ政府からの指令でした。安全保障上の理由から、米政府が最新モデルの使用に待ったをかけたのです。Anthropic社は、アメリカ人以外のユーザーをリアルタイムで判別してアクセスを制限することが困難であるため、結果として全ユーザー向けのアクセスを停止するに至ったようです。
このニュースを聞いて、私は二つの大きな問題意識を持ちました。
一つは、AIの性能向上が、ついに政府が介入せざるを得ないレベルに達したという事実です。以前からAIの進化が社会に与える影響については言及してきましたが、それが現実のものとして目の前に現れたわけです。
そしてもう一つ、中小企業の経営者として、そして50代で起業した私自身のIT活用者としての視点から、より強く感じたのは、「昨日まで使えていた仕事の道具が、政府や特定のベンダーの判断で、突然使えなくなる」というリスクの現実味です。
AIは単なる便利ツールではない、経営の「インフラ」になりつつある
今や、ChatGPT、Claude、GeminiといったAIツールは、私を含め多くのビジネスパーソンにとって、日常の業務に欠かせない存在です。プログラムの作成支援、営業資料の構成、技術情報のまとめ、顧客への提案アイデア出しなど、AIなしでは仕事が回らない、と感じる人も少なくないでしょう。
AIはもはや単なる「便利ツール」ではなく、電気やインターネット回線と同様に、経営を支える「インフラ」になりつつあります。しかし、インフラである以上、停電や通信障害のように「止まる可能性がある」という前提で考える必要があります。
中小企業が陥りやすい「AI一本足打法」の危険性
私が懸念しているのは、中小企業における「AI一本足打法」です。
例えば、社内でITに詳しい担当者が一人いて、その人が特定のAIサービスを使って業務フローを構築し、それが社内全体に浸透しているケースを想像してみてください。もし、その特定のAIが突然使えなくなったら、どうなるでしょうか? 業務が滞り、最悪の場合、完全にストップしてしまうかもしれません。
これは、特定のサービスや技術に過度に依存することのリスクそのものです。AIの賢さや使いやすさばかりに目を奪われ、「一番賢いAIを使えばいい」「一番有名なAIを使えばいい」という感覚で業務を組んでしまうと、今回の事例のように予期せぬ事態が起きた際、大きな痛手となる可能性があります。
「止まる前提」で考える、中小企業のためのAI活用戦略
では、このようなリスクにどう備えれば良いのでしょうか? 私が考える、中小企業がAIを安全かつ効果的に活用するためのポイントは以下の通りです。
-
複数のAIを使いこなす
特定のAIに依存せず、複数のAIツールを使い分けられる体制を整えることが重要です。ChatGPTが使えなくなったらGemini、Claudeが使えなくなったらChatGPTに切り替える、といったバックアッププランを用意しておくべきでしょう。 -
クラウドAIが止まった時の代替手段を検討する
もしクラウド上のAIサービスが利用できなくなった場合、どう業務を継続するか。最悪のケースを想定し、手作業に戻す、あるいはローカルで動作するAIツールを導入するなどの代替手段を検討しておく必要があります。 -
機密情報は外部に出さないローカル処理も選択肢に
今回の事例とは少し視点が異なりますが、顧客情報や社内機密など、外部のAIサービスに安易に読み込ませることに抵抗を感じる経営者の方もいらっしゃいます。そうした懸念を持つ方には、ネットワークに接続せずにPC上で動作する「ローカルAI」の活用も有効な選択肢です。外部サービスが停止するリスクからも解放されます。 -
人間が確認できる業務フローを設計する
AIが生成した情報や成果物を、必ず人間が最終確認するプロセスを組み込むべきです。AIが間違えるリスクだけでなく、AIが突然使えなくなるリスクを考慮しても、人間によるチェックは不可欠です。
50代起業家として、変化の時代に中小企業を支える
私自身、50代で起業し、常に変化の激しいIT業界の最前線に身を置いています。これまでの経験から、どんなに便利なツールでも、それに全幅の信頼を置いて依存しすぎるのは危険だと感じています。
中小企業こそ、人手不足の解消や生産性向上にAIを活用していくべきです。しかし同時に、そのリスクも理解し、賢く付き合っていく必要があります。AIを使いながらも、AIに依存しすぎない。このバランス感覚が、これからのIT活用には不可欠です。
CloudLabは、こうしたAI時代の外部IT部門として、中小企業の皆様がAIを安全かつ効果的に導入・活用できるよう、伴走支援していきたいと考えています。今回の事例を教訓に、皆様の事業がAIによってさらに発展するよう、共に最適なIT戦略を考えていきましょう。
CloudLabは京都・亀岡を拠点に、中小企業のIT活用・AI導入・ホームページ制作を支援しています。AI導入のリスクや活用方法についてお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
この記事の内容はYouTubeでも話しています。
動画を見る →